改善事例

整理収納の知識を、現場改善に活かす

企業や店舗の現場では、「モノが片づいていない」という目に見える問題の奥に、さまざまな課題があります。

・モノの置き場所が決まっていない。
・必要なものをすぐに取り出せない。
・人によってやり方が違う。
・片づけても、すぐに元に戻ってしまう。

こうした問題を、整理収納の視点だけでなく、作業動線・衛生・安全・人の動き・継続しやすさなど、さまざまな視点から見ていきます。ここでは、実際の現場でどのような課題があり、どのように改善したのかをご紹介します。

整理収納アドバイザーの皆さまが、企業や店舗の現場を見る際の参考にしていただければと思います。

■事例1:飲食店の整理整頓・現場改善

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① 現場の状況
チャンバーと言われるプレハブ式の冷蔵庫です。中は、整理整頓ができていない状態です。
床のすのこは、長靴で上がる場所です。

② 現場の課題
寸胴鍋は、床に直置きしている状態と同じで、不衛生な状態です。
棚の使い方も「定位置」がなくモノの把握がしにくいため、二重注文したり、経費のムダが生まれていました。

③ 現場を見る
モノの量や収納だけでなく、人の動きや作業、衛生、安全などの視点から現場を見ていきます。

④ 改善方法
1.床に設置しているすのこを無くし、掃除がしやすく衛生管理がしやすい状況に改善しました。
2.モノの定位置を決め、探しやすく、戻しやすい収納に改善しました。

⑤ 改善後
1.モノが把握しやすくなり、スタッフ間のコミュニケーションも良くなりました。
2.製造後の商品をこれまでの倍量、保管することができ、製造数を増やすことができました。

⑥ 整理収納アドバイザーが学べるポイント
1.今回の事例では、「モノを整理して収納する」だけではなく、現場全体を見ることが改善につながりました。

2.冷蔵庫内のモノの量や収納状態だけを見るのではなく、
・床にモノを置くことで、衛生面に問題がないか
・掃除や衛生管理がしやすい環境になっているか
・モノの定位置が決まっているか
・スタッフが必要なモノをすぐに見つけられるか
・作業する人にとって使いやすい環境になっているか
・収納を改善することで、保管できる量や作業量に変化が生まれるか
といった視点で現場を見ることが大切です。

3.今回、定位置を決めて収納を見直したことで、モノが把握しやすくなり、スタッフ間のコミュニケーションにも変化が生まれました。
さらに、保管できる商品量が増え、製造数を増やすことにもつながりました。

4.整理収納アドバイザーが企業や店舗の現場で仕事をするときには、「きれいに収納する」だけではなく、
「なぜ、この状態になっているのか」「この改善によって、現場はどう変わるのか」
まで考えて現場を見ることが、重要なポイントになります。

■事例2:製造現場と倉庫の「どこに何があるかわからない」を改善

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①現場の状況

製造工場で、備品や消耗品がさまざまな場所に置かれていました。
同じようなモノが複数の場所にあり、使いたいモノを探すために、棚の中を一つずつ確認するような状態でした。
また、使い終わったモノを戻す場所も明確に決まっていませんでした。

② 現場の課題

「とりあえず空いているところに置く」という状態になっていたため、モノの場所が人によって違っていました。
そのため、
・必要なモノを探すのに時間がかかる
・同じモノを二重に購入してしまう
・在庫がどのくらいあるのか分からない
・使った人によって戻す場所が違う
・倉庫の中がすぐに乱れてしまう
といった問題が起きていました。

③ 現場を見る

収納だけを見るのではなく、
「誰がこの倉庫を使っているのか」
「どのようなモノを、どのくらいの頻度で使うのか」
「取り出すときに困っていることは何か」
「使った後、なぜ元の場所に戻らないのか」
という視点で現場を確認します。さらに、棚の高さや通路の幅、使用頻度なども確認し、実際の使い方に合わせて改善方法を考えます。

④ 改善方法

まず、倉庫にあるモノを確認し、不要なモノや重複しているモノを整理しました。
そのうえで、使用頻度や種類ごとに収納場所を決めました。

さらに、
・誰が見ても場所が分かる
・使った後に戻しやすい
・在庫量を確認しやすい
ということを意識して、棚の配置と収納方法を見直しました。必要な場所には表示をつけ、誰が使っても同じ状態に戻せるようにしました。

⑤ 改善後

・必要なモノの場所が分かりやすくなり、探す時間を減らすことができました。
・在庫の状況も確認しやすくなったため、同じモノを重複して購入することを防ぎやすくなりました。
・「使った人が元に戻す」ということも分かりやすくなり、以前よりも倉庫の状態を維持しやすくなりました。

⑥ 整理収納アドバイザーが学べるポイント

企業の現場では、「収納をきれいにする」だけでは、5S・環境整備とは言えません。

大切なのは、
「誰が使うのか」
「どのように使うのか」
「なぜ今の状態になっているのか」
「どうすれば、きれいな状態を続けられるのか」
まで考えることです。

家庭の整理収納では、一人ひとりの使い方に合わせて収納を考えることができます。
一方、企業や店舗では、複数の人が同じ場所を使います。

そのため、
「誰が使っても分かる」
「誰が使っても戻せる」
「人が変わっても続けられる」
という仕組みを考えることが重要になります。

整理収納アドバイザーが企業の現場に関わるときには、モノの整理・収納だけでなく、人の動きや使い方、維持できる仕組みまで見ることで、現場改善につなげることができます。

■事例3.HACCP・衛生管理改善

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整理整頓と衛生管理を組み合わせた、飲食店の現場改善事例をご紹介します。


①現場の状況

厨房内にさまざまな道具や備品が置かれており、必要なものを探す時間が発生していました。

現場の課題
単純に「収納場所が足りない」という問題ではなく、

・使用頻度に合った配置になっていない
・人によって置く場所が違う
・作業中に取り出しにくい
・衛生面で注意が必要な場所にモノが置かれている

など、複数の課題がありました。

③改善したこと

使用頻度や作業の流れを確認し、収納場所や配置を見直しました。
また、誰が使っても分かるように、置き場所を明確にしました。

改善事例を見るときには、「どこに何を収納したか」だけではなく、

「なぜ、そこに置かれていたのか」
「誰が使っているのか」
「どんな作業をしているのか」
「なぜ元に戻らないのか」
「衛生面で問題はないか」
「改善した状態をどう維持するのか」という視点で見てみてください。

家庭の整理収納とは違い、企業や店舗では、一人ひとりの使い方や考え方が違います。
だからこそ、現場を観察し、課題を見つけ、その場所に合った改善方法を考えることが大切です。

ここから、実際の改善事例をご紹介します。

厨房内にさまざまな道具や備品が置かれており、必要なものを探す時間が発生していました。

単純に「収納場所が足りない」という問題ではなく、

・使用頻度に合った配置になっていない
・人によって置く場所が違う
・作業中に取り出しにくい
・衛生面で注意が必要な場所にモノが置かれている

など、複数の課題がありました。

⑤改善後

必要なものを取り出しやすくなり、作業しやすい環境になりました。

⑥整理収納アドバイザーが見るポイント

この事例では、「収納をきれいにする」だけではなく、

「人がどのように動くのか」

「どのように使われるのか」

「衛生的に問題がないか」

まで考えて改善しています。

企業や店舗では、収納方法だけを見るのではなく、現場全体を見ることが大切です。

■事例4.従業員が使いやすい仕組みづくり

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「どこに戻せばいい?」をなくす飲食店の現場改善事例をご紹介します。

① 現場の状況

企業や店舗の現場では、同じ場所を複数の従業員が使います。
そのため、担当する人によってモノを置く場所が変わったり、使った人が「どこに戻せばいいのか分からない」ということがあります。

特に、決まった収納場所があっても、それが分かりにくければ、時間が経つにつれて少しずつ崩れていきます。
どこに戻せばいいかわからなくなり、床置きされていった事例です。

② 現場の課題

モノを戻す場所や方法が明確になっておらず、従業員によって置き場所が変わる状態になっていました。

そのため、
・使いたいモノを探すのに時間がかかる
・使ったモノが元の場所に戻らない
・人によって収納場所が変わる
・収納場所が分かりにくく、確認が必要になる
・忙しいときに、空いている場所へ置いてしまう
といった問題が起きていました。

「片づけるように伝える」だけでは、従業員が変わったり忙しくなったりすると、整理された状態を維持することが難しい状況でした。

③ 現場を見る

収納の状態だけではなく、実際の作業や従業員の動きを確認します。

・モノをどこから取り出しているか
・どこで使っているか
・使った後、どこへ戻しているか
・収納場所までの動線に無理がないか
・モノを探したり、取り出したりする際に困っていないか
・従業員によって使い方や戻し方が違っていないか
・忙しいときでも、決めた場所に戻せる仕組みになっているか

実際の現場を見ることで、収納方法だけでは分からない「使いにくさ」や「戻しにくさ」を見つけていきます。

④改善方法

使用頻度や作業の流れを確認し、使う場所に近いところへ収納場所を見直します。

さらに、定位置を決め、表示などを使って、誰が見ても分かるようにします。

「きれいに収納する」のではなく、
「取り出しやすい」
「戻しやすい」
「誰が見ても分かる」ことを意識して仕組みをつくります。

今回は、アルバイトやパートの方でもわかりやすいマップ図を作成しました。
保管状態が崩れない改善を実施しました。

⑤ 改善後

モノの定位置と収納方法を決めたことで、従業員が「どこにあるか」「どこへ戻すか」を迷わずに使えるようになりました。

人によって置く場所が変わることも減り、誰が使っても同じ状態に戻しやすくなりました。

また、新しく入った従業員でも、表示や定位置を確認することで、モノの場所を覚えやすくなりました。

「片づけるように伝える」のではなく、自然と片づいた状態を維持できる環境を整えることにつながりました。

⑥ 整理収納アドバイザーが学べるポイント

企業や店舗では、「収納をつくったら終わり」ではありません。

大切なのは、その収納を実際に使う従業員が、

「迷わない」
「取り出せる」
「戻せる」
「続けられる」

という状態をつくることです。

整理収納アドバイザーが企業や店舗の現場に関わるときには、「この収納で、従業員は本当に使いやすいだろうか?」という視点を持つことが大切です。

収納を整えるだけではなく、そこで働く人が無理なく使い続けられる仕組みを考える。

それが、企業や店舗の現場で求められる整理収納の一つの形です。